経営労務トピック

働く高齢者4人に1人 65歳以上、最多の3640万人(9/20 日経新聞より)

総務省は、20日の敬老の日にあわせ、65歳以上の高齢者に関する統計を公表した。15日時点の人口推計によると65歳以上の高齢者人口は2020年より22万人増えて3640万人だった。総人口に占める割合は0.3ポイント伸び29.1%と過去最高を更新した。就業率は20年で25.1%と9年連続の上昇となった。働く高齢者は、数も割合も増えている。65歳以上の就業者数は906万人と17年連続で伸びた。15歳以上の就業者数に占める65歳以上の割合は13.6%と過去最高を記録した。

 

国は、今年の4月から70歳までの就業確保措置を講じることを「努力義務」としました。現段階ではあくまで「努力義務」なので70歳までの就業確保措置を採らなくても違法とはなりませんが、これまでの法改正の経緯を踏まえると、そう遠くないうちに義務化されることが見込まれます。そうなると70歳までの就業確保を怠ることは違法となり、ペナルティの対象となります。今のうちに社内規程や働き方を整備する必要があります。

 

今後企業は、技能や技術があり、働く意欲のある高齢者を年齢で区切ることなく、雇用し続けることで技術を伝承し、後輩を育成して行くことが重要であり、そのことが今後の企業の発展や国の発展に繋がることになります。

 

継続雇用規程、就業規則のご依頼は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまでご相談ください。

 

 

基礎年金の水準低下抑制 厚労相「低所得者に手厚く」(9/10  日経新聞より)

田村憲久厚生労働相は10日の記者会見で、次の公的年金改革に向けて、基礎年金の水準低下を抑えるための新たな仕組みを検討すると述べた。人口減少や寿命の延びにあわせて給付額を抑制する「マクロ経済スライド」について、基礎年金と厚生年金の給付の抑制期間が同じになるようにする。

現在は基礎年金の方が給付抑制期間が長く、水準低下を懸念する声が出ていた。田村氏は「所得の低い方々に手厚い年金に変わる。非常に意味のある改革になる」と語った。年金改革は5年に1度の財政検証をもとに制度改革を実施する。次回の2024年の検証に向け検討する。

厚労省が昨年末に示した試算によると、19年度に36.4%だった基礎年金の所得代替率は、現行制度のもとではマクロスライド終了後の46年度に26.5%まで低下する。厚生年金とスライド実施期間をそろえると、33年度の32.9%に低下を抑えることができるとしていた。

 

公的年金の受給開始年齢は原則65歳で、本人が希望すれば60~70歳の間で繰り上げたり、繰り下げたりできますが、2022年4月からは受給開始年齢を繰り下げられる上限が70歳から75歳に引き上げられます。

受給開始時期を1カ月繰り下げると、65歳開始に比べて年金の受取額は0.7%ずつ増額されます。70歳では42%増、75歳は84%増える。65歳以降も働いて厚生年金の保険料を払い続ければ、年金額はさらに上乗せされます。

公的年金を受給する高齢者世帯の約半分は年金以外の収入源を持っていません。働きたいシニア世代の就労を後押しすることは本人の老後の生活を維持することにつながり、保険料の払い手を増やすことにもなって年金財政にも貢献することになります。そのためにも70歳定年時代に適した雇用制度を再構築する必要があります。

中小企業の再生人材育成 47都道府県で研修へ 政府(8/28 時事通信より配信)

コロナ禍で打撃を受けた中小企業の事業再生を支援するため、政府が専門人材の育成に乗り出すことが27日、分かった。

地方銀行や信用金庫など全国の金融機関から、産業競争力強化法に基づき47都道府県に設置している「中小企業再生支援協議会」に2、3人ずつ計100人程度を派遣してもらい、研修を行う制度を2022年度に創設する。

コロナ禍の資金繰り支援で膨らんだ過剰債務の解消や成長事業への投資を通じ、地域経済の回復につなげる狙いだ。

地域経済を支える中小企業の事業再生は、専門知識が必要となるが、大企業の再生に比べて収益性が低く、担い手が不足している。

このため、中小企業庁は、メガバンクに限らず、地域金融機関や信用保証協会などで働く30代から40代前半の職員を対象に1年間の研修制度を創設。全国各地の協議会で、中小企業の相談に対応し、必要に応じて再生計画を策定するノウハウなどを学んでもらう。全国の事業再生の専門家や税理士、中小企業診断士らとも連携して支援できるよう、ネットワークづくりの勉強会をオンライン形式で開くことも計画している。

研修に必要な人件費は、政府と金融機関が半分程度ずつ負担する形を想定。中企庁は必要経費として約5億円を22年度予算概算要求に盛り込む方針だ。

協議会は、中小企業の相談に応じ、債権者である複数の金融機関の間で意見を調整して債務整理を進め、再生計画の策定を支援する。20年度の相談企業数は5580件と過去最多を記録。コロナ収束後には融資返済の開始で相談件数の増加が見込まれている。

最低賃金、全県で800円超え<九州・沖縄21年度答申>(8/19 日経新聞より)

九州・沖縄8県の2021年度の最低賃金(時給)の答申がでそろい、初めて全県で800円を超えました。

引き上げ幅は大分県の30円、佐賀県の29円を除き、いずれも国の目安通りの28円となりました。現行制度で最大の引き上げ幅となりましたが、新型コロナウイルス禍の長期化による事業環境悪化などもあり、労使の意見は一層対立しました。引き上げ額が最高となった背景には国の方針があります。政府は民間主導での経済回復を図るため、6月の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で最低賃金を「早期に全国平均1,000円とすることを目指す」としていました。

官製による賃金の引き上げは、中小企業の体力を奪うばかりか、その屋台骨すら壊しかねない恐れがあります。一方で労働者も自らの生活を守る必要があります。政府は今後、雇用調整助成金や事業再構築補助金を準備し、その打撃を少しでも和らげるための手立てを講じる方向です。ただし、これも長く続くものではないため、経営者はこれらの助成金を活用しながら次のステップ考える時がきています。また、労働者も今自分が置かれている立場を再度見直し、スキルアップしながら次のステージに行くことを考える必要があります。

 

口約束で泣き寝入り多発…フリーランスへの業務発注、契約書の作成義務付け事業者拡大(8/11 読売新聞オンラインより)

政府は、会社などの組織に属さず、フリーランスで働く人の法的保護を強化するため、業務発注時に契約書面の作成を義務付ける事業者の対象を拡大する方針を固めた。新型コロナウイルス禍でフリーランスの収入源が減る中、口約束の仕事を一方的にキャンセルされるなどのトラブルが相次いでいるためだ。来年の通常国会に関連法案を提出する方向で調整している。

下請け取引の公正化などを定めた下請法では、資本金1000万円超の事業者がフリーランスに業務を発注する場合、取引代金の額や支払期日を記載した書面の交付を義務付けている。一方、資本金1000万円以下の事業者が発注する取引については義務付けの対象外となっている。

政府が昨年2~3月に実施した調査では、事業者から業務を受注するフリーランスの約4割が、報酬の未払いや納品日の一方的な変更などのトラブルを経験している。このうち約6割は、口頭のやり取りだけで書面やメールを取り交わしていないか、取り交わしていても十分な記載がなかった。フリーランス側が最終的に「泣き寝入り」を迫られるケースも多いとされる。

今回の改正案は、法的保護の範囲を拡大し、社会的に弱い立場のフリーランスで働く人を守るという視点が反映されたものです。そもそも契約書を作成するということは、法的に義務付けられていない場合であっても権利・義務の所在を明確にし、トラブルを未然に抑止することにも繋がります。労働契約書にしろ業務委託契約書にしろ、労働者やフリーランスを守るだけではなく、企業としてもフェアな契約を結び、リスクを避けるという意味でも重要なことです。適切な契約書の作成は事業の遂行にあたっても不可欠なものとなります。

 

業務委託契約書の作成依頼は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまでご相談ください。

雇用保険料22年度にも引き上げへ 雇調金増、財源が不足 (7/28 日経新聞より)

厚生労働省は、雇用保険の保険料率を引き上げる検討に入ります。新型コロナウイルス感染拡大で雇用調整助成金の給付が増え、財源が逼迫しているためです。

雇用調整助成金は、企業が従業員に払う休業手当の費用を助成する制度です。仕事が減っても働き手を解雇せず、雇用を維持してもらう狙いがあります。

国は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う特例措置として2020年から助成内容を拡大した結果、新型コロナの影響による支給決定額は20年3月から21年7月23日時点の累計で4兆円を超えました。労働経済白書によると、雇調金の特例などの効果で20年4月から10月の完全失業率を2.6ポイント抑えられたといいます。

コロナ下で雇調金は雇用維持に一定の効果が出ていますが、休業手当を補う内容のため、人手が余る業界に働き手がとどまりかねません。長引けば労働市場の調整機能がゆがむ面もあります。人手が必要な成長分野への移動が起きるよう学び直しの機会を増やす必要があります。

雇用調整助成金のご相談は、まつもと経営労務Officeまでご連絡ください。

最低賃金3%引き上げ、全国平均930円、最大28円増  政府時給引き上げに助成金(7/15 日経新聞より)

中央最低賃金審議会(厚生労働相の諮問機関)の小委員会は14日、2021年度の最低賃金を全国平均で28円を目安に引き上げ、時給930円とすると決めました。28円の引き上げ額は過去最大で、上げ幅は約3%でした。実現すれば全都道府県で初めて800円を超えます。

最低賃金は企業が労働者に支払わないといけない最低限の時給で、違反した企業には罰則もあります。現在の全国平均は902円。毎年、国の審議会が全都道府県をA~Dランクに分けて引き上げ目安を示し、これを基に各地域の審議会が実際の金額を決めています。10月ごろに新たな最低賃金が適用されます。

今回、小委員会は全てのランクを28円としランクごとの差を設けませんでした。

第2次安倍政権は年3%の引き上げ目標を掲げ、政権の意向に沿って16~19年度は約3%ずつ大幅に引き上げました。20年度は新型コロナウイルスの感染拡大の影響を考慮して国の審議会が11年ぶりに引き上げ目安を示せませんでした。結果的に各都道府県の引き上げは、全国平均で0.1%(1円)増にとどまりました。今年度はワクチン接種などが進み、新型コロナの影響をどう捉えるかで労使の意見が対立していました。

政府は6月に閣議決定した経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、最低賃金について「感染症拡大前に引き上げてきた実績を踏まえ、より早期に全国平均1000円をめざす」と記しました。急激な上昇に耐えられるよう、中小企業への政府の支援策を求める声もあります。

政府は最低賃金の3.0%引き上げに向け、企業の負担軽減策を講じます。雇用調整助成金など複数の補助金について時給を上げる中小企業が受け取れるよう給付要件を見直します。

政府は、一定以上時給を上げる中小企業を対象に、10月から3ヶ月間、助成金を出します。コロナの影響が大きい中小企業で最低賃金引き上げの負担が過大にならないようにします。

また、業態転換を進める企業を支援する事業再構築補助金でも給与の引き上げ企業に配慮します。売上高が大きく落ち込んでいることを条件に、給与を上げる中小企業対象に特別枠を設けて補助率を高めます。

終業規則、助成金のご相談は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまで

障害年金、うつ・がんも対象 申請漏れ多く時効は5年(7/12 日経電子版より)

ケガや病気で生活に支障がある人がもらえるのが障害年金です。受給者は拡大の一途ですが、制度の理解不足から申請漏れがかなり多いとされています。職場の人間関係からうつ病となり退職した者が、申請の結果、年に120万円を受給できるようになったが、障害年金の時効は5年であるため、遡って5年分はもらえるものの、それ以前の分は時効消滅してしまうということもあります。

障害年金は目や手足の障害だけが対象だと思う人が多いのですが、実際はうつ病など精神疾患、糖尿病といった内臓疾患やがんなど、傷病名にかかわらず、生活や仕事に支障がある状態になれば請求可能です。障害年金は国民年金または厚生年金の被保険者(被保険者だった一部の人などを含む)が障害の状態に該当し、原則保険料の納付要件を満たせば受給できます。年金というと高齢者のイメージですが基本的に20歳以上なら受給対象となります。

障害厚生年金は加入期間や収入で変わり、一定条件で配偶者の加算が付きます。非課税なので大きな助けとなります。しかし会社員時代に傷病が始まったのに診察を受けずに退社し障害基礎年金しかもらえない人も多いのが現状です。

 

障害年金のご相談は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまで

キヤノン、工場従業員にDX教育 成長職種へ配置転換 (7/7 日経新聞より)

事業構造改革に向けて従業員にデジタル関連などの再教育をする企業が増えています。キヤノンは工場従業員を含む1500人にクラウドや人工知能(AI)の研修を実施します。医療関連への配置転換などを通じ成長につなげることを目指しています。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)はグループ従業員5万人にデジタル教育を進めています。

今、銀行は店舗を拠点にした対面サービスの見直しを迫られています。送金や決済はスマートフォンでも可能になり、企業向け融資ではクラウドファンディングなどの新手法も広がっているためです。既存のノウハウだけでは競争力を維持できない状況です。

電機や金融に限らず、AIやデジタル領域に代表される成長分野は慢性的な人材不足に陥っていますが、デジタル技術の進化に対応した「リスキリング(学び直し)」に世界各国が取り組んでいます。欧米では転職やキャリアアップのための再教育を政府が積極的に後押していますが、日本はまだ遅れているため、企業自身が主体的に内部での再教育に踏み切っています。しかし、中堅・中小企業にできることは限られます。

今後、学び直しを支援する公的な仕組みの拡充を睨みながら従業員の資質向上のための体制を整えることが必要になります。

雇用流動化、若者がけん引 3年内離職率が10年で最高 (7/4 日経新聞より)

転職する若者が増えています。新型コロナウイルス禍で雇用環境が厳しい中、成長性が高い分野をめざす動きが活発になっています。

入社後に短期で転職すれば十分経験を積めない懸念があり、会社も育て始めた人材の流出は損失が大きいでしょう。それでも社会全体で生産性を高めるには成長分野への人材シフトが欠かせません。若い世代の動きが他の先進国に比べて低い日本の流動性を高める可能性があります。

構造的な人手不足を背景に「売り手市場」として拡大していた転職市場は、新型コロナウイルス感染拡大の影響を受けていったん落ち込みましたが、現在回復途上にあります。有為な人材を永く自社に留めるためにも、労働環境、福利厚生等の充実、適切な人事考課が不可欠になります。

労務管理のご相談は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまで

 

失業率5月3.0%、休業者は、210万人超(6/30 日経新聞より)

総務省が29日発表した5月の労働力調査によると完全失業率(季節調整値)は3.0%で前月から0.2ポイント悪化しました。完全失業者(原数値)は211万人で前年同月から13万人増えました。一方で就業者数(同)は6667万人で前年同月と比べ11万人増加し、コロナ前の19年同月と比べると65万人減りました。労働力調査で目立つのが休業者の増加です。5月は212万人(同)で前月から13万人増えました。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う失業者を防ぐため、政府の助成金で雇用維持を図る構図が鮮明になっています。

企業としては雇用調整助成金を利用することで生活を安定させることが必要ですが、個人としてはコロナ収束後を見据えて、成長分野に移動するために一定のスキルを身に付けることが重要になります。政府や企業は新しい業態に変化し、対応するための能力開発等の環境を整えることが急務であると考えます。

労務管理等のご相談は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまでご連絡ください。

厚生労働省は、雇用調整助成金の特例措置について8月末まで継続すると発表しました。

新型コロナウイルス感染症に係る雇用調整助成金・緊急雇用安定助成金、新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金の特例措置については、7月末までとしている現在の助成内容を8月末まで継続する予定となり、9月以降の助成内容については、雇用情勢を踏まえながら検討し、7月中に判断するとのことです。

現在、原則として1人あたりの上限を1日1万3,500円、助成率は大企業で最大4分の3、中小企業で10分の9としています。ただし、地域や業況によっては上限額を1日1万5,000円、助成率を10分の10にしています。詳しくは、厚生労働省のホームページでご確認ください。

8月以降の雇用調整助成金の特例措置等について|厚生労働省 (mhlw.go.jp)

雇用調整助成金のご相談は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまでご連絡ください。