経営労務トピック (2021.9)

塩野義、希望者に週休3日制 来年度から(9/21 産経新聞 21:30配信より)

塩野義製薬が来年度から希望する社員が週休3日で働ける制度を導入することが21日、分かった。新入社員や管理職などを除く約7割の社員が対象となる。大学院での勉強や資格取得などを通じた社員の能力アップを促し、自社でのイノベーション(技術革新)につなげる狙い。

希望者を募り、来年4月から制度を開始する。副業も認める。給与は週休2日に比べて8割程度になる。入社3年未満や管理職は対象外で、介護や育児での利用も認める。

塩野義は創薬事業以外へのビジネスモデル拡大を目指し、人材育成を重視している。資格取得などで年間最大25万円を補助する既存制度と組み合わせ、社員の自己投資を促す。

週休3日制は政府の経済財政運営の指針「骨太の方針」にも促進が盛り込まれている。みずほフィナンシャルグループが週休3日や4日を認める制度を導入するなど、動きが広がりつつある。

週休三日制は多面的な働き方のひとつのモデルと考えるべきです。週休三日制によって企業側は人件費の削減を図ることができる一方で、労働者側としても、休日は他の企業で仕事をすることで収入増やスキルアップを図ることが可能になるし、収入は減ったとしても、その分休日を自分自身の時間として有効に活用することができます。もちろんこれは週休三日制に適した業種・職種にいえることであって、業種・職種によっては週休二日制でかつ自社の業務にフルタイムで専念してもらうほうが望ましい場合もあります。

企業にとっても、労働者にとっても最適な働き方を選択するべきです。業務の内容や質に応じて、賃金とのバランスをとりながら、ある社員は週休2日制、ある社員は週休3日制と多面的な働き方を提供することが令和の時代の企業として、その維持発展に最も効果的な対応といえます。

働く高齢者4人に1人 65歳以上、最多の3640万人(9/20 日経新聞より)

総務省は、20日の敬老の日にあわせ、65歳以上の高齢者に関する統計を公表した。15日時点の人口推計によると65歳以上の高齢者人口は2020年より22万人増えて3640万人だった。総人口に占める割合は0.3ポイント伸び29.1%と過去最高を更新した。就業率は20年で25.1%と9年連続の上昇となった。働く高齢者は、数も割合も増えている。65歳以上の就業者数は906万人と17年連続で伸びた。15歳以上の就業者数に占める65歳以上の割合は13.6%と過去最高を記録した。

 

国は、今年の4月から70歳までの就業確保措置を講じることを「努力義務」としました。現段階ではあくまで「努力義務」なので70歳までの就業確保措置を採らなくても違法とはなりませんが、これまでの法改正の経緯を踏まえると、そう遠くないうちに義務化されることが見込まれます。そうなると70歳までの就業確保を怠ることは違法となり、ペナルティの対象となります。今のうちに社内規程や働き方を整備する必要があります。

 

今後企業は、技能や技術があり、働く意欲のある高齢者を年齢で区切ることなく、雇用し続けることで技術を伝承し、後輩を育成して行くことが重要であり、そのことが今後の企業の発展や国の発展に繋がることになります。

 

継続雇用規程、就業規則のご依頼は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまでご相談ください。

 

 

基礎年金の水準低下抑制 厚労相「低所得者に手厚く」(9/10  日経新聞より)

田村憲久厚生労働相は10日の記者会見で、次の公的年金改革に向けて、基礎年金の水準低下を抑えるための新たな仕組みを検討すると述べた。人口減少や寿命の延びにあわせて給付額を抑制する「マクロ経済スライド」について、基礎年金と厚生年金の給付の抑制期間が同じになるようにする。

現在は基礎年金の方が給付抑制期間が長く、水準低下を懸念する声が出ていた。田村氏は「所得の低い方々に手厚い年金に変わる。非常に意味のある改革になる」と語った。年金改革は5年に1度の財政検証をもとに制度改革を実施する。次回の2024年の検証に向け検討する。

厚労省が昨年末に示した試算によると、19年度に36.4%だった基礎年金の所得代替率は、現行制度のもとではマクロスライド終了後の46年度に26.5%まで低下する。厚生年金とスライド実施期間をそろえると、33年度の32.9%に低下を抑えることができるとしていた。

 

公的年金の受給開始年齢は原則65歳で、本人が希望すれば60~70歳の間で繰り上げたり、繰り下げたりできますが、2022年4月からは受給開始年齢を繰り下げられる上限が70歳から75歳に引き上げられます。

受給開始時期を1カ月繰り下げると、65歳開始に比べて年金の受取額は0.7%ずつ増額されます。70歳では42%増、75歳は84%増える。65歳以降も働いて厚生年金の保険料を払い続ければ、年金額はさらに上乗せされます。

公的年金を受給する高齢者世帯の約半分は年金以外の収入源を持っていません。働きたいシニア世代の就労を後押しすることは本人の老後の生活を維持することにつながり、保険料の払い手を増やすことにもなって年金財政にも貢献することになります。そのためにも70歳定年時代に適した雇用制度を再構築する必要があります。