コロナ禍で打撃を受けた中小企業の事業再生を支援するため、政府が専門人材の育成に乗り出すことが27日、分かった。
地方銀行や信用金庫など全国の金融機関から、産業競争力強化法に基づき47都道府県に設置している「中小企業再生支援協議会」に2、3人ずつ計100人程度を派遣してもらい、研修を行う制度を2022年度に創設する。
コロナ禍の資金繰り支援で膨らんだ過剰債務の解消や成長事業への投資を通じ、地域経済の回復につなげる狙いだ。
地域経済を支える中小企業の事業再生は、専門知識が必要となるが、大企業の再生に比べて収益性が低く、担い手が不足している。
このため、中小企業庁は、メガバンクに限らず、地域金融機関や信用保証協会などで働く30代から40代前半の職員を対象に1年間の研修制度を創設。全国各地の協議会で、中小企業の相談に対応し、必要に応じて再生計画を策定するノウハウなどを学んでもらう。全国の事業再生の専門家や税理士、中小企業診断士らとも連携して支援できるよう、ネットワークづくりの勉強会をオンライン形式で開くことも計画している。
研修に必要な人件費は、政府と金融機関が半分程度ずつ負担する形を想定。中企庁は必要経費として約5億円を22年度予算概算要求に盛り込む方針だ。
協議会は、中小企業の相談に応じ、債権者である複数の金融機関の間で意見を調整して債務整理を進め、再生計画の策定を支援する。20年度の相談企業数は5580件と過去最多を記録。コロナ収束後には融資返済の開始で相談件数の増加が見込まれている。