経営労務トピック (2021.8)

中小企業の再生人材育成 47都道府県で研修へ 政府(8/28 時事通信より配信)

コロナ禍で打撃を受けた中小企業の事業再生を支援するため、政府が専門人材の育成に乗り出すことが27日、分かった。

地方銀行や信用金庫など全国の金融機関から、産業競争力強化法に基づき47都道府県に設置している「中小企業再生支援協議会」に2、3人ずつ計100人程度を派遣してもらい、研修を行う制度を2022年度に創設する。

コロナ禍の資金繰り支援で膨らんだ過剰債務の解消や成長事業への投資を通じ、地域経済の回復につなげる狙いだ。

地域経済を支える中小企業の事業再生は、専門知識が必要となるが、大企業の再生に比べて収益性が低く、担い手が不足している。

このため、中小企業庁は、メガバンクに限らず、地域金融機関や信用保証協会などで働く30代から40代前半の職員を対象に1年間の研修制度を創設。全国各地の協議会で、中小企業の相談に対応し、必要に応じて再生計画を策定するノウハウなどを学んでもらう。全国の事業再生の専門家や税理士、中小企業診断士らとも連携して支援できるよう、ネットワークづくりの勉強会をオンライン形式で開くことも計画している。

研修に必要な人件費は、政府と金融機関が半分程度ずつ負担する形を想定。中企庁は必要経費として約5億円を22年度予算概算要求に盛り込む方針だ。

協議会は、中小企業の相談に応じ、債権者である複数の金融機関の間で意見を調整して債務整理を進め、再生計画の策定を支援する。20年度の相談企業数は5580件と過去最多を記録。コロナ収束後には融資返済の開始で相談件数の増加が見込まれている。

最低賃金、全県で800円超え<九州・沖縄21年度答申>(8/19 日経新聞より)

九州・沖縄8県の2021年度の最低賃金(時給)の答申がでそろい、初めて全県で800円を超えました。

引き上げ幅は大分県の30円、佐賀県の29円を除き、いずれも国の目安通りの28円となりました。現行制度で最大の引き上げ幅となりましたが、新型コロナウイルス禍の長期化による事業環境悪化などもあり、労使の意見は一層対立しました。引き上げ額が最高となった背景には国の方針があります。政府は民間主導での経済回復を図るため、6月の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で最低賃金を「早期に全国平均1,000円とすることを目指す」としていました。

官製による賃金の引き上げは、中小企業の体力を奪うばかりか、その屋台骨すら壊しかねない恐れがあります。一方で労働者も自らの生活を守る必要があります。政府は今後、雇用調整助成金や事業再構築補助金を準備し、その打撃を少しでも和らげるための手立てを講じる方向です。ただし、これも長く続くものではないため、経営者はこれらの助成金を活用しながら次のステップ考える時がきています。また、労働者も今自分が置かれている立場を再度見直し、スキルアップしながら次のステージに行くことを考える必要があります。

 

口約束で泣き寝入り多発…フリーランスへの業務発注、契約書の作成義務付け事業者拡大(8/11 読売新聞オンラインより)

政府は、会社などの組織に属さず、フリーランスで働く人の法的保護を強化するため、業務発注時に契約書面の作成を義務付ける事業者の対象を拡大する方針を固めた。新型コロナウイルス禍でフリーランスの収入源が減る中、口約束の仕事を一方的にキャンセルされるなどのトラブルが相次いでいるためだ。来年の通常国会に関連法案を提出する方向で調整している。

下請け取引の公正化などを定めた下請法では、資本金1000万円超の事業者がフリーランスに業務を発注する場合、取引代金の額や支払期日を記載した書面の交付を義務付けている。一方、資本金1000万円以下の事業者が発注する取引については義務付けの対象外となっている。

政府が昨年2~3月に実施した調査では、事業者から業務を受注するフリーランスの約4割が、報酬の未払いや納品日の一方的な変更などのトラブルを経験している。このうち約6割は、口頭のやり取りだけで書面やメールを取り交わしていないか、取り交わしていても十分な記載がなかった。フリーランス側が最終的に「泣き寝入り」を迫られるケースも多いとされる。

今回の改正案は、法的保護の範囲を拡大し、社会的に弱い立場のフリーランスで働く人を守るという視点が反映されたものです。そもそも契約書を作成するということは、法的に義務付けられていない場合であっても権利・義務の所在を明確にし、トラブルを未然に抑止することにも繋がります。労働契約書にしろ業務委託契約書にしろ、労働者やフリーランスを守るだけではなく、企業としてもフェアな契約を結び、リスクを避けるという意味でも重要なことです。適切な契約書の作成は事業の遂行にあたっても不可欠なものとなります。

 

業務委託契約書の作成依頼は、福岡県久留米市まつもと経営労務Officeまでご相談ください。