男性の育児休業取得率が2022年度、過去最高の17.13%になった。前年度より3.16ポイント上がった。ただ女性の取得率8割との差はなお大きい。男女ともに仕事と子育てが両立できるよう、一層の取り組みが必要だ。
22年度の取得率は、20年10月1日からの1年間に配偶者が出産した男性のうち、22年10月1日までに育休を開始・申請した人の割合だ。より柔軟に取得できる「産後パパ育休」などが同月から始まったが、今回の数字には入っていない。足元ではさらに取得が増えている可能性がある。
それでも、25年までに50%、30年までに85%という政府目標とはまだ開きがある。規模による差も大きく、従業員500人以上が25.36%であるのに対して、5〜29人では11.15%だ。政府は6月にまとめた少子化対策「こども未来戦略方針」のなかで中小企業への助成拡充を打ち出した。着実に進めたい。
そもそも育休は長く続く子育ての最初の一歩にすぎない。目指すべきは日常的に男性が担えるようにすることだ。それには職場の働き方を変えることが欠かせない。
生産性向上で労働時間を減らしたり、在宅勤務やフレックスタイムを活用した柔軟な働き方を広げたりするなど、企業は工夫をこらしてほしい。
男性の育児を阻む社会規範にもメスを入れたい。「男性は仕事、女性は家庭」という意識は根強く残る。家事・育児分担の男女格差は、先進国のなかで著しく大きい。この根本的な構図を変えなくては、男性の育休促進も形だけのものに終わってしまう。
政府は「共働き・共育て」を少子化対策の柱に位置づける。ならば働き方と規範見直しの具体策をもっと前面に打ち出してほしい。男女の分業を前提とした税・社会保障制度も見直す時期だ。
育休制度ができたのは30年以上前の1992年だ。「男性が育休をとると職場がまわらない」にはもう、終止符を打ちたい。
7月31日付日経新聞の調査によると、産後パパ育休制度を知らないと答えた人は、こどもがいない20~30代で6割弱に上りました。一方で育休を取りたいと答えた男性は66.8%おり、制度の充実や取得しやすい環境と合わせ、周知も進めていく必要性が改めて浮き彫りとなりました。
令和4年4月1日の法改正により、本人または配偶者の妊娠・出産等を申し出た労働者に対して事業主は、育児休業制度に関する次の事項の周知と休業取得の意向確認の措置を個別に行わなければなりません。
産後パパ育休制度とは、令和4年10月1日の育児介護休業法改正によって新たに創設された制度です。
産後パパ育休制度は、夫婦で仕事と子育てを両立する制度でもあります。育児休業制度を活用し、充実させることで、働きやすい職場づくりを進めることができます。
育児休業制度の導入・アピールによって、会社のイメージが向上し、若い人たちの採用向上につながることも考えられます。人手不足が社会問題となっている現状を踏まえて雇用の質・量を確保するためには単に賃金増を図るだけではなく、働く人のための環境作りも重要です。良質な労働者を長期的に安定して雇用するためには、こうした制度をいち早く取り入れ社会にアピールすることも不可欠になるのが時代の潮流です。
厚生労働省から出ている両立支援等助成金の中には、男性労働者が育児休業を取得しやすい雇用環境を整備した事業主に対する助成金などが設けられていますので、活用されてはいかがでしょうか。
まずは、育児休業規程を整備し、必要であれば、労使協定を結びましょう。
育児介護休業制度のご相談は、福岡県久留米市まつもと経営労務officeまでご連絡ださい。