厚生労働省は3日、1人の女性が生涯に産む子どもの数を示す合計特殊出生率(総合2面きょうのことば)が2021年は1.30だったと発表した。6年連続で低下し、出生数も過去最少だ。新型コロナウイルス禍後に出生数を回復させた欧米と比べて対策が見劣りする上、既存制度が十分使われず、支援が空回りしている。このままでは人口減少の加速に歯止めがかからない。

出生率は05年の1.26が過去最低。21年の1.30は前年より0.03ポイント低下し、過去4番目に低い。1.5未満が「超少子化」水準で、1.3未満はさらに深刻な状態とされる。出生数は81万1604人と前年比2万9231人減で6年連続で過去最少だった。厚労省は15~49歳の女性人口の減少と20代の出生率低下を理由に挙げる。

結婚の減少も拍車をかけた。21年は50万1116組と戦後最少でコロナ禍前の19年比で10万組近く減った。婚姻数の増減は出生数に直結する。コロナ下の行動制限の影響で出会いが減少したことが影響したとみられる。

 

コロナ下で出生数が減る現象は各国共通だが、欧米の一部は回復に向かっている。米国は21年に約366万人出生し7年ぶりに増えた。出生率も1.66と前年の1.64から上昇した。フランスも21年の出生率は1.83で、20年の1.82から上がり、ドイツも21年の出生数は増加する見通しだ

手厚い少子化対策が素早い回復を促した。野村総合研究所のまとめでは、フランスや英国などは不妊治療の費用を全額助成する。日本は長く不妊治療への支援が限定的だった。22年4月から不妊治療への保険適用が始まったが、仕事との両立に悩むカップルは多い。治療しやすい環境が伴わなければ、保険適用の効果は限定的になる。

中京大の松田茂樹教授は「若い世代の雇用対策と経済支援が必要」と話す。結婚に至らない理由に経済的な不安定さがあるといい、「正規雇用でも賃金が不十分な人が多い。若い世代のキャリア形成支援が結婚、出産に結びつく」と指摘する。

 

出生から死亡を引いた自然減は62万8205人と過去最大になった。国立社会保障・人口問題研究所の予想を上回る速さで進む出生減が主因だ。想定以上の少子高齢化が進めば日本の社会基盤が揺らぎ、世界の経済成長に取り残されていく。

 

                                           

日本の少子高齢化については従来より問題視されてきましたが、効果的な政策が打てていないのが現状です。国の産業が発展し、国民が豊かになり、先進国になると少子高齢化が進むのは必然的であり先進国に共通する悩みとなっています。なかでも日本の場合には、医療技術の発展や社会保障の充実により突出した高齢化社会を迎えています。

本文でも触れられているように日本の合計特殊出生率は、先進国の中でも低い状況にあります。その対策として、国は、育児休業法を改正し今年の4月から中小企業も従業員が安心して子育てのしやすい環境を整える事を義務化しました。合わせて助成金を支給することで企業の負担を軽減しています。

しかし、これだけで本当に若者が結婚して子供を産みたいと思うのでしょうか。

少子化は、労働力人口の低下をもたらし、経済力の低下を招きます。本気で人口増加を目指すのであれば、1組の男女から2人以上の子供を産み育てることが求められます。そのためには若い男女が結婚して子供を産みたくなる雇用環境を整えることが重要です。この国では女性がキャリアを積むことにまだまだ抵抗があります。昔からある性別の役割分担の意識改革も必要になります。

この問題は、省庁の枠を超えて国を挙げて取り組む問題です。

子供が複数いる家庭への税金の優遇や、保育所や教育支援施設といった子供を育てるための労働環境の整備、経済力に関わらず優秀な人材を育成するための教育機関の設置など、将来の日本を背負う若者を社会全体で支える制度作りが不可欠です。

 

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