事業構造改革に向けて従業員にデジタル関連などの再教育をする企業が増えています。キヤノンは工場従業員を含む1500人にクラウドや人工知能(AI)の研修を実施します。医療関連への配置転換などを通じ成長につなげることを目指しています。三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)はグループ従業員5万人にデジタル教育を進めています。

今、銀行は店舗を拠点にした対面サービスの見直しを迫られています。送金や決済はスマートフォンでも可能になり、企業向け融資ではクラウドファンディングなどの新手法も広がっているためです。既存のノウハウだけでは競争力を維持できない状況です。

電機や金融に限らず、AIやデジタル領域に代表される成長分野は慢性的な人材不足に陥っていますが、デジタル技術の進化に対応した「リスキリング(学び直し)」に世界各国が取り組んでいます。欧米では転職やキャリアアップのための再教育を政府が積極的に後押していますが、日本はまだ遅れているため、企業自身が主体的に内部での再教育に踏み切っています。しかし、中堅・中小企業にできることは限られます。

今後、学び直しを支援する公的な仕組みの拡充を睨みながら従業員の資質向上のための体制を整えることが必要になります。