Q 労務管理と人事管理はどう違うのですか
A 労務管理とは、従業員の「労働条件」や「労働環境」「福利厚生」などを管理する業務のことです。労務管理の具体的な業務には、勤怠管理や給与計算、入退社に伴う社会保険の手続きなどがあります。労務管理の目的は「従業員一人一人が安心して働くことのできる職場」をつくることといえます。企業規模の大小を問わず、全ての企業に労務管理は不可欠なものです。具体的には、労働時間管理、給与・福利厚生計算業務、安全衛生管理、従業員のライフイベントに生じる必要な諸手続きの管理、労使関係管理(労働組合との折衝等)が挙げられます。
人事管理とは、企業内で人材をより効果的に活用するために、規則や処遇を定めて適切に運用することです。人事管理では、従業員と直接かかわる業務を行います。人事管理の具体的な業務には、採用活動、社内研修の実施、人事評価制度の作成、配属先の決定などがあります。本来、労務と人事は異なる仕事と役割を持っています。しかし、多くの中小企業では人事担当者が労務や総務の仕事を兼任しています。人事担当者は人材育成や社内研修の実施、評価制度の立案などの業務を行うべきですが、企業規模によっては間接部門に人手を割けないのが実情です。そのため、人事と労務の業務の線引きがあいまいになっています。
コロナ禍の影響で「テレワーク」が導入され在宅で勤務することが一挙に普及しましたが、この場合には、従業員の仕事振りを直接見ることができません。そこで、まず企業内のルールを整備する必要があります。基本的には「就業規則の変更」あるいは「在宅勤務規定の策定」といった対応が求められます。テレワークに伴う問題として「交通費や諸手当の支給をどうするのか」「PCなどの機器の光熱費や通信費の負担をどうするのか」「情報管理のペーパーレス化」といったことも併せて検討しなければなりません。適切な給与支給のためには「出退勤メール」や「Web勤怠管理システム」のような制度を導入して、正確な労働時間を把握することも不可欠です。
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