九州・沖縄8県の2021年度の最低賃金(時給)の答申がでそろい、初めて全県で800円を超えました。

引き上げ幅は大分県の30円、佐賀県の29円を除き、いずれも国の目安通りの28円となりました。現行制度で最大の引き上げ幅となりましたが、新型コロナウイルス禍の長期化による事業環境悪化などもあり、労使の意見は一層対立しました。引き上げ額が最高となった背景には国の方針があります。政府は民間主導での経済回復を図るため、6月の経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で最低賃金を「早期に全国平均1,000円とすることを目指す」としていました。

官製による賃金の引き上げは、中小企業の体力を奪うばかりか、その屋台骨すら壊しかねない恐れがあります。一方で労働者も自らの生活を守る必要があります。政府は今後、雇用調整助成金や事業再構築補助金を準備し、その打撃を少しでも和らげるための手立てを講じる方向です。ただし、これも長く続くものではないため、経営者はこれらの助成金を活用しながら次のステップ考える時がきています。また、労働者も今自分が置かれている立場を再度見直し、スキルアップしながら次のステージに行くことを考える必要があります。